がん免疫治療

がんの心理療法

サイモントン療法(心理療法)

当院にはサイモントン療法の認定カウンセラーが常駐しており、プログラムを受講できます

サイモントン療法は、米国の放射線腫瘍医で心理社会腫瘍医の、O.カール・サイモントンが考案した、がん患者とそのサポーター(家族等)のための心理療法です。1971年から始められ約30年の経過をへて次第に洗練され現在のプログラム形式になっています。現在ではがんのみならず、ストレスを起因とするあらゆる病気に対して同療法が提供されています。最も大切な点は人任せにせず患者自らが自分自身を癒すという積極姿勢にあります。単に病気を治すということだけではなく患者も家族も医療者も同じ人間として精神的に成長できる点が特徴です。

サイモントン療法の効果

進行期乳がんの平均余命は一般療法のみが18ヶ月、だったのに対して、サイモントン療法を併用した場合38ヶ月、倍以上に伸びています。その他のがんでも平均余命が2倍になる事が判っています。
アイゼンクが行なった末期の乳がん患者に行なった別のがんの心理療法の研究でも化学療法のみを受けた群は平均生存期間が14.1ヶ月、心理療法だけを受けた群では14.9ヶ月、両方を受けた群では22.4ヶ月 両方とも受けない群では11.3ヶ月という興味深い結果を出ています。
最近のがんの心理療法では2005年ドイツで行われた消化器癌患者271名を2群に分けたプロスペクティブスタディーでも手術から10年後、一般治療のみを行ったグループが生存期間の平均が30ヶ月だったのに対し 心理療法を併用したグループは50ヶ月でした。1.6倍に延長しています。
10年後42人の患者が生存し、心理療法を受けた患者はそのうち32人、それに対し対照群ではわずかに10人でした。完治度が3倍以上だということです。
一般に非常に効果があるといわれている抗がん剤治療でも生存期間の改善率は2割程度ですからすばらしい結果だと言えます。

治癒例

79歳女性

2003.11月、進行期の子宮体癌が発症。放射線治療を受けたが、2004春に左頚部、縦隔にリンパ節転移が生じた。2004秋に頚部の放射線治療を受けたがリンパ節は残存マーカーも高値が持続していた2006.4に当院で主催たしたDrサイモントンの講演会に出席、会場で書籍「がん治癒への道」を購入して読んだが、自分自身の夫に対する積年の怒りが原因である事に明確に気づき気持ちが整理できた。考えが変化し、感謝の気持ちで満たされるようになりボランティアやコーラスにも参加するようになった。体調が改善すると共に2006年秋にはマーカーが正常化、リンパ節転移も自然消失した。患者さんの本を見せていただいたがびっしりと付箋と書込みがしてあった。自然治癒者特有の悟りに似た強さと優しさと快活さと穏やかさに満ち ていた。

サイモントン療法の内容

喜び・生きがいのワーク
人生に喜びと充足感、そして心地よさをもたらすものに取り組んでいるときこそ自分の本性に近づいており、より多くの時間それらの活動に取り組むよう働きかける。また、それらに取り組む際の障害は不健全思考・信念に起因する事に気付く。 (例 休暇をとる事は怠けることである
ビリーフワーク(信念・思い込み書き換えのエクササイズ)
ストレス(distress)を解消するための核のツールとなる。否定的感情を呼び起こす信念(思い込み・思考・解釈)に目を向けそれが健全であるかチェックする。不健全である場合、健全信念に書き換える。
(例 夫は私を愛していない→私の望む表現はしていないが彼なりのやり方で私を愛してくれている)
イメージワーク(ビジュアライゼーション)
ガン、自然治癒力、治療を絵に描くことで視覚化し、自然治癒力と治療の効果を認識、増強する。
(例 がんは実はもろい細胞の集まりであり非常に弱々しい)
ストレスパターンと病気の二次的恩恵 (疾病利得)
病気を自分のストレスの役割、病気のもたらす二次的恩恵とその要因を認識し、自身への優しさといたわりの重要さを学ぶ (がんになって初めて窮屈な義務から解放されて自分自身の時間を作る事ができた→ずっとがんのままでいたい)
希望・信頼・内なる叡智・スピリチャリティー(霊性)
希望と執着を区別し、希望をもつことの大切さ、また、自分の内からのガイド(内なる叡智=Inner Wisdom)に耳を傾け行動に移すことの大切さについて、また、スピリチャリティー(霊性)に関する健全な信念について取り組む。(あなたにより良い気分感情をもたらすものであれば 死後の世界や信仰についても信じたい事を信じる権利がある)
死生観
死に対する健全な信念を抱くことにより死に対する恐怖と絶望感を取り除く。死についての哲学的、宗教的、霊的(スピリチャリティー)観念についても取り上げる。生きる希望を持ち、今日、この日の質を上げることを目的とする。(死の恐怖感は自然治癒の最大の妨げになります。心の準備ができたら死に着いて健全なイメージを作ります。)
患者とサポーターのコミュニケーション
「サポーターが患者に出してもらいたい結果でなく、患者が自身に出したい結果を周囲がサポートする」真のサポートとコミュニケーション・ミスコミュニケーションについて取り組む
(サポートすべき家族や医療者が自身で気付かないまま自分自身の理想を押し付けている場合がある。)
二年間の健康プラン
自分の本性へ戻るためのプランを6つのカテゴリー(分野)に分け具体的に取り組む (自分の明確な未来像を持つ。2年先まで)
リラクゼーション・メディテーション(瞑想)
治癒力が高まる、治療の効果が高まる等、自分が健康になってゆくイメージをもってメディテーションを行う

実際の応用

サイモントン療法は応用範囲が広く本来はグループセッションの形式ですが入院病床18床しか持たない当院では入院のがん患者にはカウンセラーによる個々のアプローチを行なっています。他の一般医療、代替医療(アロマ・整体・瞑想・気功・食事療法などと組み合わせて行なえる柔軟性を持っています。大病院では入院 外来患者を含めた定期的なグループセッションも効果的だと思われます。
心理療法は一般療法のようにすぐにがんの縮小が生じるというものではなく数ヶ月~2年という単位でその差が明確になってきます。また、ビリーフワークによる信念の書き換え(認知療法)が定着する為には繰り返しが必要です。

忙しい外来での私のアプローチ

  • 問診時に発病前3年の心理状態、ストレスを必ず尋ねる、ほとんどの場合判で押したように心理的原因がある。
  • ストレスと発病についての因果関係を簡単に説明してみる。簡単な資料やCDを貸し出す。次回までに聞いてみるように勧める。
  • 本人に気づきや関心があったら、本を勧めるかカウンセラーを紹介する。
  • カウンセラーから経過を聞き、認定カウンセラーに紹介する。さらに関心が高い人にはサイモントン療法のプログラム参加を勧める、家族や友人のサポーターの理解を得るため共にカウンセリングを受けてもらう。
  • 外来・通院時に、カウンセラーと並行しながら心理状態のチェックを行なう。悪化した場合は再度、全体の見直しを行なう。

病院・病棟で取り組む場合

NPO法人サイモントンジャパンに相談してみて 簡単なスタッフ向けのセミナーを行なってもらったり、各病院 病棟に合ったプランを作るのが手っ取り早いと思います。認定カウンセラーに来てもらいながらスタッフもゆっくり学んでゆくというプロセスを踏めば楽しく学ぶ事ができるはずです。忙しい医師や看護師こそまず経験してみる価値があります。

忙しい病棟で働くあなたにもすぐにできること

  • 関心を持ったら「がんのイメージコントロール法」「がん 治癒への道」という本一読してみる事。
  • 病歴を尋ねる際に必ず発病前の精神的ストレスを尋ねる習慣をつける事。本人も気付かないことがあるので睡眠時間・熟睡度・体重変化・趣味・職場の人間関係・家族の関係・最近楽しかったこと・不快だったこと・がんになって得をしたことをそれとなく尋ねてみる。 仕事や責任から逃れたい 介護や育児から解放されたい、夫や上司の顔も見るのもいやだ、人生に喜びが感じられない、ひそかに死んだほうがましだと考えていた、がんになって安心したやっとNOが言える、深層心理には明確な答えが出ている事が多いものです。
  • 患者さんは手術・抗がん剤・放射線治療後も発病したと同じ精神環境に戻らなければならないのですから再発を防ぐには精神環境を変えなくてはなりません。患者さんに心理的問題に気付いてもらうだけで大きな進歩です。
  • 家族に本音を話せない時や友人のサポートを言い出せない時はカウンセラーを交えて話をしてみる事をお勧めします。
  • 社会的な知識で解決できる問題もあるでしょうし見方や信念の書き換えが必要な事もあるでしょう。ただ傾聴し、共感するだけでも本人の気づきを促します。本やCDを貸してあげるだけでも良いのです。

最後にDrサイモントンの言葉

我々は全て死亡率100%であり、死なないという事は不健全な思考であり、死ぬという事こそが健全な思考である。いつ死んでも良いように生きる事こそが大切である。
サイモントン博士は2009.6.18他界されましたが、日本を愛し、最後までがんの患者さんの精紳的サポートに献身されました。貴重なことを後世に残してくださったと思います。
イメージ:がん治療への道

効果が明白で生活の質「QUALITY OF LIFE」死の質「QUALITY OF DEATH」も高めることができるのが判っていながら日本で普及が遅れているのは心という定量化できないものが評価しにくいという健康保険制度に問題があると言えます。
本来ならがんの標準治療になるべきなのです。専門のカウンセラーやセラピストの育成が急務でありNPO法人サイモントンジャパンでも認定セラピストの育成やセミナーを積極的に行なっています。

NPO法人サイモントンジャパン http://www.simontonjapan.com

参考図書:がんのイメージコントロール法、(同文館出版)がん治癒への道(創元社)
がんは「気持ち」で治るのか?(三一新書)

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