治療の現場から

       

かぶれとアトピーは別の病気。検査と治療の方法は?:久保Dr.からのアドバイス

2020.02.01治療の現場から

かぶれ(接触皮膚炎)

当院にはアトピー性皮膚炎のほかにも、かゆみを伴う皮膚炎で受診・入院なさる患者さんがいらっしゃいますが、その中でも症状がアトピーと似ているのは、アレルギーからくる接触皮膚炎(いわゆる かぶれ)です。

代表的なものとしては、タクシーやトラックの運転手さんのハンドル皮膚炎、事務職の方に見られるボールペン皮膚炎やインク皮膚炎、美容師さんに多いパーマ液やシャンプーによる皮膚炎、アクセサリー制作者に見られる金属皮膚炎などが挙げられます。

掌の側面の接触皮膚炎

接触皮膚炎の様子:手のひらの側面から手首にかけて炎症が生じている

手の甲の接触皮膚炎

接触皮膚炎の様子:薬指と小指の付根に炎症が生じている

※上記の画像は疾患説明のためのものです。

かぶれの一番の治療は原因物質を遠ざけること

アトピー性皮膚炎は基本的にIgE抗体がからんだⅠ型アレルギーが関与していますが、接触皮膚炎は遅延型Ⅳ型アレルギーが主体です。

痒さや炎症の見た目は似ていてもアトピー性皮膚炎とは発症の機序(しくみ)が違うため、原因物質を見つけて遠ざけることが一番の治療です。

アトピー性皮膚炎が、皮膚に病原菌が増殖して炎症を引き起こしているのに対し、接触皮膚炎は、薬品や金属、化粧品、日用品の成分などの物質が皮膚に触れることで生じます。

原因物質を特定する方法

接触皮膚炎はかゆみが強く、アトピーと似た症状を引き起こすことから、当院を受診なさる患者さんも少なくありません。中にはアトピー性皮膚炎と組み合わさった方もいらっしゃいます。

当院ではこのようなアレルギー性の接触皮膚炎検査に、パッチテストを行っています。
最近では、一度で24種類の物質に対するアレルギー反応を一度で調べることができるテストも登場して、アレルゲンが特定しやすくなりました。

※判定には数日必要です。

背中に貼ったパッチテストパネル

パッチを剥がした状態

赤くなっている部分が反応しているアレルゲンです。

また、これまでに入院なさった患者さんの中には、本人が愛用している精油(植物性のエッセンシャルオイル)にアレルギー反応を起こしている方もいらっしゃいました。

入院治療で症状が改善しても、退院して通常の生活に戻るとアレルゲン物質に触れることが増え症状が再発してしまいますので、良い状態を保つには、アレルゲンとなっている物質を特定し身の回りから遠ざけることが重要です。

入院患者さんには、当院がお勧めする洗剤や石鹸、シャンプー類を使用するよう指導しているのも、患者さんの愛用品の中に皮膚炎の原因となっているものが潜んでいる場合があるからです。
また中には軟膏やクリームの基剤に反応する人もいますので、注意が必要です。

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院長 久保 賢介 のプロフィール

院長

1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。

詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介

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