治療の現場から

       

アトピー患者さんに生じやすい疾患:酒さ様皮膚炎について 久保Dr.からのアドバイス

2023.01.14治療の現場から

当院への入院を検討している段階で受診するアトピー患者さんの中には、いろいろなタイプのアトピー症状を抱えた方がいらっしゃいますが、中でもたびたび経験するのは他院(皮膚科など)で酒さ様皮膚炎と診断を受けた患者さんです。

酒さ様皮膚炎とは、その名の通り「酒さ(しゅさ)※」という皮膚疾患に似た、皮膚に赤みやほてり、刺激を感じやすい状態になる皮膚炎で、酒さと同様、ニキビのようなブツブツや発疹が生じるケースもあります。

※酒さとは:鼻や頬を中心に顔全体が赤くなる皮膚疾患で、悪化するとニキビのようなブツブツや発疹、鼻の皮膚が厚くなるなどの症状が生じる。タイプによっては目に症状が生じることも。

 

酒さ様皮膚炎の原因はステロイド外用

酒さ様皮膚炎は、ステロイド外用の長期連用が原因で生じます。

ステロイド外用の副作用とも言えるため「ステロイド皮膚炎」と表現する医師もいて、アトピー治療のためにステロイド外用を使用しているとしばしば生じます。

治療法としては何よりもステロイド外用を中止することですが、急にステロイドを中止するといわゆる脱ステのリバウンド症状が出る場合が多いため、徐々にステロイドの使用を減らしていく必要があります。

しかし、それまでステロイド外用でどうにかコントロールしていたアトピー性皮膚炎は、ステロイドを減らしたり中止したりする過程でコントロールが崩れてしまい、冒頭に書いたような患者さんは、どうしようもなくなって当院に駆け込んでいらっしゃるわけです。

「酒さ様皮膚炎の改善にはステロイド外用の中止が必要だけれども、ステロイドを止めるとアトピーが悪化してしまう」という、アトピー患者さんにとっては八方ふさがりの状況に見えますが、当院の入院治療やバイオ入浴には親和性が高く、実際に、酒さ様皮膚炎を伴ったアトピー患者さんの入院をこれまでも沢山受け入れて治療してきました。

 

ステロイドを使用すると必ず酒さ様皮膚炎が生じるわけではありません。

しかし、程度の差はあれ悩んでいる人が多い疾患であることも事実です。

ステロイド外用を急に中止すると全身の皮膚炎が悪化する可能性が高く、日常生活にも支障をきたす恐れがあるうえに、自己流の脱ステには様々なリスクを伴います。
詳しくは脱ステロイドについてまとめたページがありますのでご覧ください。

アトピー脱ステロイドの経過と注意点 久保Dr.からのアドバイス

また、ステロイドを止めたとしても、そもそものアトピー体質は残りますので、その後の治療や症状のコントロールも視野に入れて対応を考える必要があります。

筆者のプロフィール

院長

ナチュラルクリニック21院長 久保 賢介
1957年4月3日 福岡県 北九州市出身
2001年10月 有床診療所ナチュラルクリニック21 開設
所属学会:日本アレルギー学会/日本心身医学会
15年間以上、アトピー性皮膚炎患者の入院治療にあたっている。

詳しいプロフィール 医師・スタッフ紹介

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