治療の現場から

       

皮膚炎による脱毛も改善した最重症患者 入院期間:2019年3月~5月:症例40

2019.08.20治療の現場から

30代男性

入院までの経緯

乳児期のオムツかぶれから始まり、高校まで四肢屈曲部と頭皮にアトピー性皮膚炎があり、ステロイド外用を使用しながら、緩和と悪化を繰り返していた。

高校3年の終わり頃、全身に症状が広がったため1ヶ月休学し、強いステロイドを使用せざるを得なくなった事もあった。20代はステロイド外用を使用しながら仕事をしていた。

30~34歳の期間は薬を使用しなくても良好な状態が維持できていたが、35歳でヘルペスを発症しアトピー性皮膚炎が悪化、痒疹が慢性的に生じるようになった。

ステロイド外用では効果が得られなくなり、ステロイドの内服を併用し痒疹は一旦改善したが、その後もステロイド外用ではコントロールできない全身性のアトピー症状が継続。

入院の3ケ月ほど前に腹痛をきっかけに全身の皮膚症状が重症化し、勤務困難となって退職。
自宅療養を行っていたが改善はなく当院入院となった。

検査データの見方はこちらのページをご覧ください。

入院後の経過

乳児期から長年の症状により、全身の皮膚に乾燥・硬化・色素沈着が生じ痒疹が多発し頭髪の脱毛も見られる重症アトピー治療患者さんです。TARC25183という異常高値は炎症の強さを物語っています。

入院当初は全身の痒み以上に痛みが強く、全身の掻き傷だけでなく衣類が貼りつくほどの滲出液など、強い炎症が認められました。

入院直後からバイオ入浴中だけは耐えがたい痛みや痒みから解放されるとのことで、1日に6~7時間入浴していました。

最重度の皮膚炎も入院から2週間を経過するころには、徐々に改善傾向になり入院1ヶ月時の検査では、TARCは入院直後の25183から1/6以下の3844まで低下しました。その後も順調に症状は改善。

二人で生活している父親の理解と助けを受けての入院ということもあり、TARCが当院の退院判断ラインである1000台となった段階で退院となりました。

入院時、炎症や掻破によって一部脱毛していた頭髪も、退院時には目に見えて生え揃ってきており、硬化が激しく傷が多かった耳周辺も柔らかい皮膚を取り戻しています。

散歩も周囲の目を気にせずに出歩けられるのが嬉しく、今が人生で一番良い状態だと語っていました。

アトピー性皮膚炎によって、頭髪が薄くなってしまっていた他の症例
1ヶ月半で生え際の薄毛も改善 入院期間2019年8月~10月:症例48

topへ