治療の現場から
最強ステロイドも歯が立たなかったアトピーに伴う結節性痒疹が普通肌に 入院期間:2014年11月~2015年1月:症例17
2015.01.20治療の現場から
40代男性
入院までの経緯
生後まもなくからの小児喘息と共に肌の痒みがひどく、フルコート等のストロングタイプのステロイド軟膏を常時使用。
高校生になって漢方を併用した後から全身に結節性痒疹(けっせつせいようしん)が生じて慢性化し、強い痒みを伴うようになった。
様々な一般病院を受診し、最強クラスのステロイド外用を使用しても改善が得られなかった。
23歳の時、強酸性浴と亜鉛化軟膏治療で脱ステロイドを試みるも、リバウンドでアトピー性皮膚炎と結節性痒疹が一層悪化し、ステロイド治療に戻った。
その後もステロイド外用を継続しながら様々な治療を試みたが、皮膚は角化を伴い厚くなっていった。
当院を受診するまでの2年間はステロイド外用と温泉療法を行っていたが、感染による強い痒みと皮膚のただれが生じていた。
2014年秋、インターネットで当院を知り入院となった。
検査データの見方はこちらのページをご覧ください。
入院後の経過
重症アトピー患者にたびたび見られる、痒疹を伴った皮膚炎が生じている症例です。
痒疹は、丘状に固く盛り上がった皮疹で、治療が困難なうえ強い痒みを引き起こすします。
この患者さんも30年近くにわたって様々な療法や、自己流での脱ステロイドを試していましたが、十分な改善が得られていませんでした。
当院入院後は、非ステロイド治療を行いながらバイオ入浴にも取り組んだところ、入院直後にやや悪化した時期があったものの、バイオ入浴を開始して1ヶ月で皮膚炎の指標であるTARCは6088→1547まで低下し、好酸球の値も13.6%→6.5%と約1/2に減少しました。
退院時の写真を見れば、治療困難な結節性痒疹が消失していることがお分かり頂けると思います。
長年のステロイド外用で硬化し、ゴワゴワしていた皮膚も普通肌のような柔らかさを取り戻しています。
治療困難な結節性痒疹が改善した症例ですが、自然治癒力を引き出すバイオ入浴の力には目をみはるものがあります。
この患者さんの皮膚炎はアトピー特有のTh2タイプ免疫以外に、痒疹を作り出したTh1タイプの過剰免疫も作用していたと思われますが、そのどちらもがレギュレトリー(調整)されていて、生物多様性環境が作り出す自然状態への調整作用が働いたものと考えられます。




