バイオ入浴と民間療法との違い
バイオ入浴と民間療法(マコモ風呂)との違い
当院では、アトピー性皮膚炎等のまったく新しい治療法として【バイオ入浴(Biological spa care=BSC)】を開発・提唱しています。
マコモ風呂という民間療法が以前から存在し、バイオ入浴を研究・開発する上での大きなヒントとなったことは間違いありません。
しかし、現在当院が提唱しているバイオ入浴はマコモ風呂とはまったく別のものです。
最近、バイオ入浴とマコモ風呂とを混同なさった患者さんが健康被害を受けるという事例が相次いでいますので、その違いを解説したいと思います。

バイオ入浴とマコモ風呂との関係(久保院長による解説)
マコモ風呂という民間療法は、「真菰粉末を使用した入浴が、アトピー性皮膚炎に何らかの変化をもたらす」というヒントを私に与えてくれました。
しかし、科学的なアプローチは全くなされておらず、効果も不安定で副作用も未知数のマコモ風呂をそのまま患者に勧めることは医師として適切ではないと考え、研究・改良を続けて医療として認められるレベルまで効果と普遍性を高めたものがバイオ入浴です。
※アメリカ合衆国にて治療特許取得済み
公開番号2016-0089403

バイオ入浴の研究・開発
何十年間も封印されていたブラックボックスのようなマコモ風呂を、一開業医であり一臨床医である私が読み解くには、基礎医学の研究者の立場に立たねばならず、大変な覚悟と努力が必要でした。
バクテリアの培養についての知識、医学で扱う感染性病原菌だけでなく環境微生物群(マイクロバイオーム)の知識、発酵について、水中の溶存酸素・化学物質の測定、免疫変化の測定など多方面の知識と研究が必要とされました。
また遺伝子(ゲノム)レベルでの検査も必要と判断した私は、院内に検査機器を導入し、遺伝子レベルでの免疫反応のデータも研究対象となりました。
海外論文を検索し、バイオ入浴で生じている事象が最先端の分野でどういう意味を持つのか読み解く一方で、実際の治療法としてもどんどん改善を加えていきました。
ここ最近、ようやくアトピー性皮膚炎の全貌が見えてきて、世界中からどうやったらアトピー性皮膚炎をなくせるかという私にとっての命題に、自分なりの答えが見えてきたところです。
この間、提携会社の循環培養装置開発や簡易浴槽の開発にも関わり、同社が真菰発酵粉末の自社製造を開始した2018年からは、この製造工程にも新しいアプローチが可能になってきました。
数年前からテストプラントで試験を重ねてきた実績を踏まえ、より良い方法を多くの方に届けられる体制が整えられてきています。
科学的エビデンスの元に、安全で確実性のある療法として確立することで、日本のみならず世界中のアトピー性皮膚炎患者の役に立ちたいというのが、医療者である私の願いです。
民間療法のマコモ風呂は、一般的に以下の方法で行われているようです。
- ◎浴槽内に、マコモ粉末として販売されている製品を大量(1500g以上)に入れる。
- ◎浴槽の追い炊き機能や熱棒と呼ばれる電熱線ヒーターを投入してお湯を温めるため、酸素供給はされていない。
- ◎原則的にお湯を交換することはなく、ときには20年以上換えない例もある。
- ◎お湯は減少したら継ぎ足し、1ヵ月に1回程度マコモ粉末を500g程度追加投入する。
- ◎マコモ粉末は元来健康食品として販売されており、通常内服と併用される。
- ◎マコモ粉末は主に販売員によって口コミで販売されるが、使用数や紹介数が多いユーザーは販売員のピラミッドに組み込まれていく仕組みとなっている。
- ◎ブログやSNSには個人の体験談が多数あるが、民間療法や口コミ販売にありがちな、誇大な表現や客観性に欠ける情報が多数見られる。
- ◎マコモ風呂を宣伝する方々は、医療者ではないにも関わらず、疾患や症状の診断や、「改善する、良くなる、治癒する」といった発言を行う。※医師法・薬機法に抵触
マコモ風呂の問題点
以上をふまえて、マコモ風呂の問題点を整理します
- ◎免疫学や細菌学、免疫解析などの医学的裏付けがなく、作用起序も判明していない。
- ◎健康食品として内服を勧める人がいるが、内服が原因でアトピーが悪化する人が多数存在する。
- ◎熱棒と呼ばれる投げ込みヒーターによる、漏電・感電の危険性がある。
- ◎マコモ風呂を宣伝する方の中に、医師法や薬機法に抵触することを話す方がいる。
特に、真菰の作用として悪いものを出し病気を治していくという理論は、マコモ風呂を行って体調を崩した人に対して、「排毒が進んでいる・耐えて続けるべきである」という説明に使われ、健康被害を悪化・長期化させている。
バイオ入浴とマコモ風呂の違い
- ◎使用する真菰粉末
バイオ入浴には、浴水中に培養されるバクテリアの遺伝子解析の結果などを踏まえ、私の意見を伝えて製造された提携会社製のバイオ粉末を使用します。
いわゆるマコモ粉末と同じく真菰というイネ科の植物を原料としていますが、バイオ粉末とマコモ粉末では皮膚症状への働きかけに大きな違いが出ることは、この後に紹介する症例1~2によって図らずも実証されました。

- ◎温度・酸素の管理
バイオ入浴では、特許取得の循環培養装置で浴水の温度と酸素供給を管理し、有効バクテリアを培養します。有効バクテリアである土壌細菌叢の繁殖には酸素が必要ですから、水流の力を使い水中を撹拌して全体に酸素を行き渡らせています。
マコモ風呂で使用される浴槽備え付けの追い炊き機能や、投げ込み式のヒーターは植物粉末の使用を前提にして製造されてはいませんので故障のリスクが高く、投げ込みヒーターは漏電の危険性も付きまといます。
また、追い炊き・投げ込み式どちらも撹拌や酸素供給は出来ないので、粉末が沈殿したり、酸素不足となり、アンモニアや硫化水素などの物質が発生して皮膚炎を悪化させることが考えられます。
※表を横にスクロールしてご覧ください。
バイオ入浴 | マコモ風呂 | |
---|---|---|
医学的エビデンス | あり | なし |
発酵粉末 | 提携会社が製造 医師の意見を伝達 |
古くから民間療法として、 一定のユーザー |
発酵粉末の投入量 | 一回400g 追加投入なし |
一回1500g以上 追加投入あり |
浴水の交換 | 一ヶ月に一回程度 | 交換せず、粉末を追加 |
浴水の管理方法 | 循環培養装置を使用 ※特許製品 浴水についても特許有 |
追い炊き機能 投げ込みヒーター |
撹拌・酸素供給 | ○ | × |
研究体制 | 微生物群のPCR検査 体内のサイトカインの測定 |
? |
また、バイオ入浴では、上記の発酵粉末を使った浴水以外にも、入浴する人によって、凍結タイプ、液体タイプといった浴水を使用することがあります。
以下のページに、当院が経験した、マコモ風呂の健康被害とみられる具体的症例を紹介しています。いずれも、バイオ入浴で改善・安定傾向にあった方がマコモ風呂を行って悪化した症例で、中には、当院が推奨しているバイオ粉末の優位性を裏付けるものも含まれます。
注意喚起:民間療法による健康被害情報
これまで、当院に入院してバイオ入浴を身に付け、自宅でも継続して行っている患者さんには、単に患者と医療機関という枠に囚われず、可能な限りのアフターフォローに応じてきたつもりですが、今後の混乱を避けるため、当院が推奨するバイオ入浴の方法論を実行する気のない方については、このようなアフターフォローの対象から外さざるを得ない状況となっています。