バイオ入浴の詳しい知識

バイオ入浴の浴水

当院は、バイオ入浴の研究を続ける中で、これまでに次のタイプの浴水を開発してきました。

バイオ粉末

従来からの醗酵末タイプで、真水に粉末を投入して作成する。
バチルスタイプのグラム陽性菌を多く含有しTh1刺激が強い。色はココア様で沈殿物が多い。菌の餌となる植物繊維が多いので菌数が安定している。

濃縮タイプ

培養タンク内で、従来からのバイオ粉末を高濃度で4日程度培養したもの。
熟成が進んでいるため品質が安定しているが体積・重量がある。菌や免疫刺激のタイプは、バイオ粉末と共通。
熟成期間を置く必要があるため計画的な準備が必要となる。

液体タイプ

発酵した真菰の抽出成分を長期熟成させた物を、真水で希釈して使用する。刺激性は少ない。
グラム陰性菌を多く含み、Th1刺激以上に、炎症を抑える制御系T細胞を誘導して炎症を抑制する作用が中心となる。紅茶の色調。

凍結タイプ

発酵生成物の微生物のエッセンスのみを取りだした液体を、真水で希釈して使用する。
バチルスタイプのグラム陽性菌を多く含有しTh1刺激効果が強いが、皮膚への刺激は低い。
色は紅茶様で沈殿物は少ない。活性の高い菌を休眠状態にしてあるため、溶けるとすぐに活動が始まる。有効成分を保つために凍結保存が必要で、保存・輸送も温度管理を要し、解凍後はすぐに使用しないと劣化して悪臭が生じ使えなくなる。

    浴水タイプ表画像

患者さんの症状や経過をみながら適合すると思われるタイプの浴水をアドバイスすることも出来るようになってきましたが、特に最新の「凍結タイプ」はその他のタイプで思わしい改善が得られない人に対しても、目を見張る効果を発揮するのを何度も経験しています。
以下には、データや実践が最も蓄積していて、基本タイプとも言える粉末タイプについてご説明しますが、今後は凍結タイプも普及していくと考えています。

色調の違い

  • 粉末・濃縮タイプ ココア様

    粉末・濃縮タイプ ココア様

  • 液体・凍結タイプ 紅茶様

    液体・凍結タイプ 紅茶様

基本のバイオ入浴水「粉末タイプ」
粉末タイプのバイオ入浴では、有効バクテリア芽胞を多量に含んだ粉末を浴水に投入し、循環加温装置を使用して水温を適正に保って二次発酵させます。
投入から数日で水質は安定し、バチルス属を初めとする多数の土壌バクテリアが繁殖したバイオ入浴に適した培養液となります。浴水は概ね1ヶ月程度使用しますが、この間も浴水を適切に管理する必要があります。バイオ入浴の浴水に特に求められるのは、お湯の中に元気なバチルス属を始めとする土壌バクテリアがたくさんいること、皮膚免疫を刺激して免疫の変換を促す成分が豊富に含まれていること、そして痒みや炎症を引き起こす真菌(カビ類)等 の発生を抑えることです。これらの働きによって、アトピー性皮膚炎の原因菌である皮膚の病原菌を抑制するのと同時に、アレルギー体質に偏った免疫バランスを整えていくのです。

  • バイオ入浴

バイオ入浴を自宅で始めるために

浴水を良い状態に保つため、過去には様々な管理方法を試みましたが、現在院内で使用している循環加温装置を導入したことは、バイオ入浴のメソッド確立の大きなターニングポイントでした。
この装置を使うようになる前はまったく別の方法を行っていた時期もありましたが、当時は水質が不安定になりがちだったのです。

また、植物を原料とするバクテリア含有粉末の粒子を含んだお湯を機械で循環させるには、ポンプの耐久性が問題となります。
既成の装置では長くても半年程度で壊れてしまいましたが、現在使用している装置は耐久性が向上し、年単位で使えるようになりました。(ポンプ交換は2年を超えた頃から増え始めますが、5年以上交換が不要なケースもあります)なお、循環装置や培養液の製造に関しては国内特許取得済みです。

バイオ入浴では、どの浴水のタイプであってもこの循環装置を使って管理していますが、24時間絶えず浴水を攪拌し酸素供給も管理できるため水質が安定し、投げ込み式ヒーターに起きがちな漏電も、安全装置によって防止されています。この装置は一般住宅(アパートを含む)の浴槽にも設置することができますので、ご自宅でバイオ入浴に取り組む方は皆さん導入なさっています。

循環装置導入以前の、バイオ入浴の開発段階の入院経験について、インターネット上にブログ等を書いている過去の患者さんもいらっしゃいますが、当時とは比較すると大幅に進化していますので、バイオ入浴を行いたいと考えている方は、最新の情報を得たうえで検討するようにして下さい。
浴槽については、ほとんどのユニットバスで使用されているポリエステル製の浴槽では、バイオ入浴で使用する事により色素沈着が生じる事があります(特に粉末タイプ)。軽い色素沈着は、酸素系漂白剤を1日つけておくと落ちます。酸素系で落ちないときは塩素系漂白剤を使用するとほとんど落ちますが、濃度や時間に気をつけないと、逆に頑固な黄ばみが生じる可能性があります。
賃貸アパートですと転居時に修繕費を請求される事もありえます。自己責任になりますので注意が必要です。
また、浴槽に追い炊き機能がある場合は、水道業者に相談して追い炊きのシステムを止めたり、穴をバスキャップ(内締)と呼ばれる器具で塞いだりすることなどをお勧めしています。エコキュートを利用の方は特に注意が必要です。 詳しくは水道設備の業者などにご相談ください。

自宅浴槽が使えない場合

同居の家族や給湯設備の事情で自宅の浴槽が使用できない場合には、写真のような簡易型浴槽を使用することもできますが、お湯を入れると重くなるので設置場所の床等の耐久性を考える必要があります。※設置方法の詳細は販売メーカーにお尋ね下さい。
なお、この加温循環装置は、最大消費電力が800W(ヒーター稼働時)ですので、エアコンやコタツ並みの電力を消費する場合があり、特にドライヤーと同時に使うと電気のブレーカーが落ちる事があります。事前に調べておき、必要な場合には電力会社に依頼してアンペア数を上げるなどの対処をして下さい。

簡易型浴槽

浴水管理のポイント

バイオ入浴で大きな働きをするバチルス菌は酸素を好む[好気性菌]ですので、培養・繁殖させる為にはたくさんの酸素が必要となります。
また、人体から出る老廃物をバクテリアが分解して水質を保てないと、浴水が腐敗して臭いがしたり病原菌が繁殖したりしてしまいます。

〈ポイント①〉有効な土壌細菌叢をいかに培養するか
〈ポイント②〉人体から浴水中に排泄される有機物を、いかに分解し水質を保つか

この二つを考えて管理するのですが、加温循環装置で次の3項目をコントロールすることで、安定した水質を保ちやすくなります。

◎湯温管理
◎酸素供給
◎攪拌

※水質管理の詳細は入院中のプログラムでお伝えしています。

なお、使い終わったバイオ入浴用のお湯は、そのまま下水に流してかまいません。運搬容器を使用した場合も、感染の危険はありませんので分別ごみとして出して下さい。

入浴中の痒みについて

患者さんの中には、全身が炎症で浮腫み、悪寒と全身の強度の角化・落屑・体液が滲みでている方がいますが、そういう方ほどバイオ入浴が向いています。
ただし、お湯の中で皮膚を掻くと落屑や滲出液などのタンパク質が浴水に入って浴水の劣化が早まるため、浴水内ではなるべく掻かず、手のひらや綿のタオルでなでる程度するのがベストです。バイオ入浴に入っていると擦過傷などの傷は非常に早く治ります。

自宅でバイオ入浴を行っていて、皮膚炎が悪化した場合の対処法

外来を受診して症状を見せて頂くのが最善ですが、遠方にお住いで受診が難しいという方は、パソコンやスマートフォンを使用したテレビ通話によるオンライン診療という方法があり、健康保険を使用しての診察、処方が可能になります。
※オンライン診療は医師が許可した方のみ受診可能です。

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