治療の現場から

アトピー患者さんへの食事指導:後編

2020.04.18治療の現場から

アトピー治療の食事指導を受けてみた:後編

こんにちは。ナチュラルクリニック21で入院患者さんへの対応を担当している中川です。
今回は、前回に引き続き、当院の管理栄養士が入院患者さんへどんな栄養指導を行っているのか、実際に私が栄養指導を受けた様子をレポートします。
当院の治療実績を支える食事療法のエッセンスがみなさんにも伝われば幸いです。

ご意見箱


中川:
引き続きよろしくお願いします。
前回は、当院でどのような治療食を提供しているのかを中心に話しを聴きましたが、今回は退院後の食生活について行っているアドバイスを中心に話してもらえたらと思っています。

管理栄養士 木戸脇:
はい。よろしくお願いします。

退院後の食生活についてですが、アトピーだけでなく健康維持のためには、何よりも食べ過ぎないことです。

これは院長の考えのベースでもありますので、当院の治療食もカロリーは控えめになっています。
量は腹6~7分目くらいにとどめ、そのぶんよく噛んで食べると良いでしょう。

よく噛むことは、幸福感を感じるホルモンが分泌されたり、唾液が出て消化が促進されるなど、良いこと尽くしです。
消化も良くなって腸内環境の改善=免疫の改善にも役立ちますね。腸内環境という意味では、発酵食品を食べるのもお勧めしています。

それと、医療機関の治療食としては変わったメニューですが、朝食のメニューにミューズリー(内容を厳選したもの)をお出しすることもあります。

退院後、なるべく手軽に食べられるヘルシーな選択肢を持っておけば、安易なファストフード等に走ることも防げるのではないかと考えてのことです。

中川:
確かに。僕も面倒になって、簡単なものや出来合いのもので済ませてしまうことはありますし、よく噛んでいるかというと自信がないです。

そういえば、昔食べる瞑想というのを体験したことがありましたが、そのときは個室に一人、窓からの景色を見ながら玄米のご飯一膳を30分以上かけて食べました。ひとくち、ひと噛みを意識して食べることも、健康的な食生活につながるのでしょうね。

悩む中川

木戸脇:
その通りです。少食で済ませようとしても、気持ちの面で不満足感があると食事制限のストレスが大きくなって、結果的にリバウンドのように食べ過ぎてしまいます。

そういう不満足感に気持ちを乱されないように、目の前の食事を感謝して食べて、心を整えられるようにしていたいですよね。

私たちの体は、自分が食べたもので出来ていますから、何を摂り入れるかをしっかり選ぶことが大切です。

中川:
食べ物を選ぶという点では、食事療法のページでも、動物性食品の過剰摂取や、トランス脂肪酸を始めとした質の悪い油脂や酸化した油脂、乳製品、砂糖、人工甘味料などに気を付けるよう記載していますが、この他にアトピー患者さんが避けた方が良い食品としてはどんなものがあるのでしょうか?

木戸脇:
あまりいろいろなものを挙げると皆さん「何を食べたらいいのか?」と困ってしまうと思いますが、これまでお話ししたものやホームページに掲載している食品のほか、院長からは甘酒や塩麹は避けるようにと指示を受けています。

こうじ菌は真菌に分類され、アトピー患者さんの皮膚に増殖している真菌(カビ)に近いため、身体に摂り入れることで皮膚炎が悪化する可能性がある。という理由からです。

同じ麹を使った食品ということで味噌についても検証しましたが、お味噌汁を飲む事での皮膚炎への悪影響は見られませんでした。

これは、味噌は発酵期間が長く、麹菌の活動性に変化が起きていたり、加熱していることが原因なのではないかと考えています。

味噌汁の入った鍋
その他、乾燥させたクルミやプルーンなども油脂を多く含むので要注意ですし、トマトはヒスタミンなどが多く含まれるのでなるべく避けるのが無難です。

トマトは彩りを加えるのに便利なので外食でもよく使われますが、食べるなら、夏の太陽をしっかり浴びて完熟状態まで育ったエネルギーの高いものが良いでしょう。

中川:
同じ野菜でも質というのもはありますよね。
露地栽培とハウス栽培で甘みが違ったり、無農薬のものは風味が違うと思うことがよくあります。

トウモロコシ

木戸脇:
院長はそういう感覚も敏感なので、検食の野菜の質についてコメントをもらうことがたびたびあります。

こだわりの農園さんから取り寄せた野菜で作ったサラダを出すと「今日のサラダは美味しかったね」とか、反対に気象条件のため仕入れる野菜を選べない状況のときに出したサラダには「ああいうのは出さない方がいいよ」と言われたこともありました。

特に水耕栽培の栽培のものは形は立派でも生命力が弱いものが多いという理由で、出さないようにと言われています。

退院患者さんも、毎食こだわりの野菜を使うことは難しいでしょうが、入院中に農園見学などを通じて、有機・無農薬の野菜がどう生産されているのかを知るのも良いことだと思っています。

中川:
そういえば、昨年は野菜を納めて下さっている農園さんへ、患者さんと一緒に見学へ行ったこともありましたね。

僕は、患者さん向けの院内行事の企画もしているので、また見学に行けたらと思っているところです。
院内行事としては他にも、クリニックの敷地内の農地で野菜作りを体験してもらったりもしていますが、農作業をしたことがない患者さんも多く、皆さん新鮮な体験になっているようです。

リフォーム中だったクリニックの農地も今年から再開し、増設したブルーベリー畑も夏には実を付けることと思います。院長も「入院中に栽培や収穫を通じて土と触れ合うことで、食べることの意味を深めてくれたら」と話していました。

ブルーベリー狩り

以前に患者さんと行ったブルーベリー狩り

当院の方針として、入院期間は、身体を癒すだけでなく様々な体験や気づきの機会にして頂きたいというのがありますが、「食事を見直す」ということは、治療と直結するだけでなくその人の生き方にも大きく影響を与えますね。

木戸脇:
病気は、食生活を改めるようにという身体からのサインです。
入院を機会に

①食べるもの
②食べ方
③食べるということへの意識

についても見直して頂ければと思っています。
日々の食事を通じ、「命を頂くことで食材と一つになる」という意識が持てると最高ですね。

当院では、地元のベテラン主婦の皆さんが調理員として活躍し、治療食を作ってくれています。

患者さんの中には、手間暇かけた手料理を食べる経験が不足して育った方や、日々の忙しさの中で手作りの温かさから離れてしまっていた方も少なくないのですが、そういった方は退院のとき口々に、「食事が日々の楽しみでした」とおっしゃいます。

患者さんの心をホッとさせたり、楽しみとなる食事が提供できているのは、調理員の皆さんの力があってこそだと思っています。

中川:
調理員のみなさんは、とてもあったかい方ばかりだから食べる人にもその気持ちが伝わっているんでしょうね。
今日はありがとうございました!

食事がアトピーに与える影響はこちらのページでも

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