治療の現場から
不安障害と最重症アトピーを入院治療 入院期間:2018年2月~6月:症例36
2018.09.11治療の現場から
30代女性
入院までの経緯
幼少児は皮膚炎はなかったが、中学から高校にかけて手に湿疹が生じ、たまに外用薬を塗布する程度だった。
大学卒業後、就職して3年目に手と胸部に湿疹が生じるようになってステロイド外用したが、改善・悪化を繰り返していた。
入院の1年前にストレスのため職場を退職したが、パニック障害もあり、自宅でもストレスを感じていた。
2017年12月より胸部の湿疹が拡大したが、ステロイドに抵抗感があり市販の保湿剤を使用していた。
しかし、皮疹はさらに拡大し、顔以外の全身に強い痒み・掻破・滲出液・亀裂・落屑・乾燥・発赤が生じて睡眠も取れなくなり体重も7kg減少。
今後への不安感が増し、治療への迷いが大きくなって当院に入院した。
【重症アトピーによって体重が減少していた他の症例】
痒みによる不眠で体重減 体力の限界から改善した最重症アトピー 症例:4
検査データの見方はこちらのページをご覧ください。
入院後の経過
入院時、皮膚の程度を示すTARCが非常に高値だった最重症患者さんです。
皮膚炎の本格的な悪化は初めてだったことや、ステロイドを使用したことが少なかったことも手伝って、治療は非常にスムーズに進み、約3ヶ月間の入院治療によって大幅な改善を得て退院なさいました。
不安障害がありましたが、当院のカウンセラーのサポートを受け、アトピー性皮膚炎と合わせて心療内科的治療も行いました。
本人の価値観や認知が変わると免疫反応も改善し、皮膚炎の改善が進むことで精神面でも安定が得られるというプラスの循環が上手く働いています。
アトピー性皮膚炎では、皮膚炎によって社会生活が上手く送れなかったり、皮膚炎を見られたくないといったコンプレックスから、社会不適応や引きこもりになるケースがしばしばあります。
当院ではカウンセリングやレクチャーによる心理指導や、朝の瞑想など精神面のケアも行って、こういった患者さんをサポートしています。
入院される患者さんの中には、この症例の様に、就職などのライフイベントをきっかけに、成人後から発症・重症化したという方も多くいらっしゃいます。アトピーによる急激な体調や生活の変化への戸惑いのなかで、当院への入院をお選びになる患者さんの期待に、これからも応え続けていきたいと考えています。







