治療の現場から

       

脱ステ後6年間苦しんだ女性 痛々しかった皮膚がピカピカに 入院期間:2016年8月~11月:症例31

2016.11.19治療の現場から

20代女性

入院までの経緯

幼児期にアトピー性皮膚炎を発症。
皮膚炎のある部位は、学童期から高校生までは四肢の屈曲部に限られていて、近医皮膚科でステロイド外用薬の処方をときおり受けていた。

高校卒業後に就職したが、機械油が多い職場で皮膚炎が悪化したため、ステロイド外用・抗アレルギー剤内服を毎日使用するようになった。

約5年で次第に効果が得られなくなり、皮膚炎がコントロールできなくなったため24歳でステロイドを中止(脱ステ)した。
リバウンドがつらい時期は会社を休みながら耐えてたものの、全身性の皮膚炎は慢性的に持続した。

入院の約2年前から始めた数種類の代替療法はいくぶんの効果があり、痛みで曲げる事の出来なかった関節は曲げられるようになったが、皮膚炎の範囲はかえって拡大。

顔を含めた全身の皮膚炎と痒みが慢性化して、痒いかどうかも判らない程の状態が持続していたため、当院での入院治療を決意した。

検査データの見方はこちらのページをご覧ください。

入院後の経過

入院時、全身に乾燥性の皮膚炎が生じていた患者さんです。
特に四肢は、紅斑とビラン(表皮が欠損した強い炎症)が全面に生じていました。

炎症マーカーを見ると、アレルギー体質の指標となるIgEは70000IU/mlと非常に高いのに、Th2系のIL-4・IL-13を介したTARC(皮膚炎の値)は高くありませんが、IL-5を介した好酸球が46%と異常に高値であることから、典型的なTh2優位ではなく、Th1も絡んでいるタイプだと考えられました。

入院中には、当院の非ステロイド治療や食事療法・心理療法と並行して、自然免疫を誘導するバイオ入浴に取り組んたところ、明らかな改善が得られました。

自覚症状(POEM)は、入院時24点と最重症レベルでしたが、軽症レベルまでに改善。
その他の各マーカーも低下しています。

長年の掻痒からも解放され、退院時には、バイオ入浴をしていれば保湿剤さえも不要な状態にまで改善しました。

【就職・転職を機にアトピーが悪化していた他の症例】

転職で出張や発汗が増え日常生活が困難なほど重症化 入院期間:2016年6月~8月:症例28

念願の脱ステを達成して職場復帰 入院期間:2018年2月~4月:症例37

 

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