治療の現場から
ステロイド歴30年以上 苔癬化(たいせんか)した全身の皮膚炎が改善 入院期間:2015年7月~11月:症例23
2015.11.06治療の現場から
入院までの経緯
幼少児期より湿疹があったが、たまにステロイド外用を塗布する程度。
卵アレルギーで蕁麻疹が生じる事があった。
学童期から手足の屈曲部(ひじやひざ)にアトピー性皮膚炎が生じるようになり、中学からは体重も増加してアトピー性皮膚炎は全身に拡大。
皮膚科にて顔にステロイド外用のリンデロン、アルメタ、体部にフルメタを使用してコントロールしていた。
20歳頃、体重を95kgから20kg減量した際には改善したが、長続きはせず2年ほどで悪化。
24歳から38歳まで低ステロイド外用の代替医療を入院を交えながら行っていたが、次第に効果は低下し、重度のアトピー性皮膚炎が長年持続していた。
当院入院の2年前からは治療法を変更し、週2回のヒスタグロビン注射と顔にのみ弱いステロイドを使用するようになったが、重度のアトピー性皮膚は改善することなく持続していた。
当院をインターネットで知り外来受診。
IgE 25728 IU/ml(正常140以下)、TARC 26477 pg/ml(正常450以下)、好酸球26%(正常7%以下)全身の苔癬化にビラン、浸潤を伴った最重症のアトピー性皮膚炎を認め、入院治療を行った。
検査データの見方はこちらのページをご覧ください。
入院後の経過
入院当初は皮膚からの滲出液が多量にあり、膝の裏側などには、皮膚の割れてできたえぐれたような傷が見られました。
入院後は、非ステロイド治療と並行してバイオも実施。強い痒みを伴った炎症は、入院後1ヶ月半程続きましたが、その後急速に改善が得られました。
当院では発酵玄米を主食とした治療食を提供しており、摂り入れる食べ物や腸内環境からも体質改善を図っています。
大柄だったこの患者さんも入院の食事療法によって体重が13kg減少し、皮膚炎の改善だけでなく体型もスマートになって退院なさいました。
画像やデータでもおわかりいただけるように、幼少児から30年以上ステロイドを使用し、様々な代替療法でも全く効果がなかった最重症アトピー性皮膚炎が、見事にコントロールされて改善しています。
30年の病歴の蓄積と重症度から入院4ヶ月という期間が必要でしたが、目標のドラッグフリー(薬が必要ないほどまでの改善)を達成できました。
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