治療の現場から

       

非ステロイド治療に行き詰り、バイオ入浴を開始 定期受診も不要に!症例:78

2023.06.15治療の現場から

40代 女性 地元在住

通院での非ステロイド治療で症状の改善が得られずにいた地元在住のアトピー患者さんが、自宅でバイオ入浴(BSC=Biological Spa Care)を開始し、その後良好にコントロールできている症例です。

※外来通院のみの地元患者さんで、症状の写真記録が揃っていなかったため、画像は掲載していません。

バイオ入浴前

幼少期にアトピー発症。2002年当院初診。発赤、顔、全身の皮膚がガサガサした状態だった。

初診後は数ヶ月通院したのみであったが、皮膚症状悪化で2012年から通院を再開。

以後2年半にわたって外来通院し、なるべくステロイドを使用せずに治療したいという本人の希望から、非ステロイド治療を行って安定した状態となった。

2016年2月頃から痒みや赤み、乾燥、痂皮(皮膚の剥がれ)が生じるようになったとのことで、約2年ぶりの受診。

非ステロイド剤中心の治療を続けたが悪化傾向に歯止めがかからず、2016年12月の検査では炎症の程度を示すTARC13367、好酸球10.5で重症レベル、2017年4月上旬の検査でも、TARC7227、好酸球18.3とやはり高値であった。

自宅でバイオ入浴を行うことを希望し、地元在住で通院が容易であることから入院を経ずに導入をサポートすることを決め、2017年4月中旬から自宅でバイオ入浴をスタートした。

 

バイオ入浴開始後

自宅でバイオ入浴を開始するとその変化は顕著で、1日2時間程度の入浴時間を確保してバイオ入浴に取り組んだところ、開始から約40日後に行った検査でTARCが917まで急激に改善しました。

その後、半年にわたってTARC500~1000程度で推移し症状も安定していましたが、2018年春に状態が悪化。
しかし、その悪化も徐々に改善し、2018年12月には安定状態になりました。

2019年中に何度か受診した際の検査結果も、毎回TARC1000未満、IgE400未満で安定。その他の検査項目でも基準値内や軽症レベルまでに改善しました。

2021年11月の検査で、TARC400、IgE156といずれも基準値内にまで改善すると、直近に採血検査を行った2023年5月も、TARC429、IgE130と基準値内をキープしており、ほとんど痒みなく生活が出来ているようです。

2019年からは、ヘルペスが出たときに当院を受診し抗ウイルス薬の処方を受ける程度で、定期的な受診や投薬は行っていません。

バイオ入浴導入からしばらくの間(1年程度)は、免疫もまだまだ不安定で、食事、入浴時間、睡眠時間など自分にあったライフスタイルを模索している期間だと言えますので、このような悪化が生じることもありますが、これを乗り越えて正常域が維持できるようになると、定期に通院する必要すらなくなることが珍しくありません。
この患者さんは地元にお住いのため、ときおり受診なさる際の検査等で経過が確認できています。

成人型アトピーの患者さんのIgE(長期的なアレルギー体質に関わる項目)が基準値内まで改善するというのは、当院でも前例が多くはありませんが、バイオ入浴を継続することでアレルギー体質が徐々に改善されていくことを物語る症例だと言えます。

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