治療の現場から

2ヶ月の入院生活 不安を乗り越え皮膚炎も大幅改善 症例:58

2021.01.21治療の現場から

10代 女性 入院期間2020年10月~12月

入院までの経緯

3歳~4歳頃にアトピー性皮膚炎を発症しステロイド軟膏を塗布していたが、小学校2年生時に脱ステロイドを開始。ステロイドを使わない治療方針を掲げる病院で内服等の治療を受け状態は改善した。
その後も同様の内服治療を続けて、コントロールしていた。

高校入学と同時に親の仕事の都合で引っ越したが、同年代の人間関係が上手くいかず、メンタル面の落ち込みとともに皮膚症状も悪化。

2020年春に大学進学。新型コロナウイルスの影響で4月5月はオンライン授業だったため、学校での人間関係が構築できず心理的ストレスが増加。

6月頃からアトピー性皮膚炎が悪化し、四肢や背中を中心として発赤と滲出変化を伴った重症性の皮膚炎が生じた。
7月にインターネットで知った当院を受診したが希望タイプの病室に空きがなく、空室が出るのを10月まで待って入院となった。

検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。

入院後の経過

首や手足の甲などを中心にアトピー症状が生じている10代後半の患者さんです。

自宅療養中も両親が共働きで帰宅が遅く、夕食はコンビニ食が多かったそうです。
昼は自炊をしていたものの、手の症状が悪化するにしたがって出来なくなっていました。

7月の外来受診後、入院までの2ヶ月半間の自宅療養でTARCは低下していましたが、好酸球の値は跳ね上がっていてPOEMも最高点でした。

入院後は、非ステロイド治療や食事療法に加え、バイオ入浴での免疫改善にも取り組んだところ、入院時には足から出ていた浸出液が翌日夜には止まるなど、本人も数日で改善傾向を実感していました。

初めて家族のもとを離れ、新型コロナウイルスの影響で面会制限もある状況での入院。
不安や寂しさが強くなったり、自宅では親が行ってくれていた洗濯や身の回りのことを自分で行うことに負担を感じるなど、入院生活に慣れることに苦労しながらも治療を続けました。

入院後1ケ月の検査では、TARCは上昇しているものの好酸球とLDHは低下し、皮膚炎も改善してきたため患者さん自身も手応えを感じていました。

また、ストレスが原因で悪化することが多かった過去の経験から、本人も「メンタルを安定させることも課題の一つである」と自覚し、私の心療内科医としてのアドバイスを受け入れ、当院カウンセラーのカウンセリングも定期に受けていました。

2ヶ月経過時の検査ではTARCが2,000以下まで一気に低下。皮膚も見違えるように回復して退院を迎えました。
バイオ入浴という確実なケアを手に入れ、親元を離れ1人での入院生活をやり遂げたたことは大きな自信になったのではないかとと思います。

退院後のアドバイスとして、アレルギー抗原検査の結果、ペットとして飼っているイヌへの強いアレルギー反応が認められたので、なるべく接触を減らすよう勧めましたが、家族で相談してイヌを飼う部屋とそうでない部屋を分けることにしたそうです。

アトピーとペットの関わりはこちらのページでも解説
アトピー患者はペットとどう関わる?

アトピー患者さんの治療を行っていると、皮膚と精神的ケアの両方に継続的なアプローチをすることが、そのどちらにも非常に良い結果をもたらすことをしばしば経験します。

皮膚が良くなると不安は減り、不安が減ることで免疫が安定し皮膚が一層改善するというように、心と体は関連しあっているのです。

私は常々、総合診療医として多方面から患者さんを見る(診る)ことができたらという思いで、診療を行っています。この考えは当院の入院治療プログラムにも反映されていて、食事療法を取り入れたり、毎朝、患者さんと共に瞑想したりするのもその一環です。

 

限定解除要件

topへ