治療の現場から

       

医療専門職の男性、健診でアトピー悪化を自覚し入院治療へ 症例:94

2026.02.06治療の現場から

30代 男性 入院期間2024年5~7月(53日間)

手の甲#94

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入院までの経緯

小児期よりアトピー性皮膚炎を発症し、小・中学校とステロイド治療を行っていたが、中学頃からは頭皮の痒み、落屑が強くなった。

高校で寮生活になると通院の難しさからステロイドの使用量は減ったが、症状は継続。皮膚の乾燥感が強かったため、我流で保湿をして過ごしていた。

高校卒業後、医療系の専門学校を経て専門職として医療機関に就職すると、手指の消毒などにより症状が悪化。

入院の約4年前、脱ステロイド・脱保湿を治療方針に掲げる病院を一度受診したことをきっかけに、自己流で脱ステ・脱保湿を開始したが、全身の痒みや乾燥、それに伴う不眠・疲労感などが続いた。

健診で好酸球の値が11%と高くなったことをきっかけに入院を考えるようになり当院受診。入院となった。

検査結果#94

検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。

入院後の経過

入院以前の長い間、脱保湿に取り組んでいた男性患者さんです。

健診で好酸球が11.0%と高かったことをきっかけに入院を検討するようになったとのことでしたが、入院時の血液検査では、好酸球はさらに上昇して18.4%、アレルギー体質を反映するIgEも10550IU/mlと高値で、上腕部や指先、体幹部など上半身を中心に皮膚炎が生じていました。

胸部#94

また、手首や指先などの皮膚は乾燥化・角質化が進んで非常に硬くなっていました(苔癬化=たいせんか といいます)が、これはアトピーの病原菌の一種であるマラセチア(酵母様真菌)による皮膚炎が慢性化している場合によく見られる状態で、血液検査でもマラセチアへの反応が高い値でした。

入院治療を開始後はバイオ入浴も実施。はじめは少ししみるような感じがあったものの、すぐに違和感は消えたとのことです。
入院から3日目には手の傷や痛みが軽減して物が握れるようになるなど、脱保湿を止め、非ステロイドの外用薬を使うようになった効果がさっそく現れていました。

両腕#94

入院から約1ヶ月で実施した検査では、皮膚炎の程度を示すTARCが481pg/ml、好酸球9.9%、自覚症状のPOEMも27点→13点と大幅に改善して、体の掻き傷も明らかに減少

普段、医療機関で専門職として忙しく勤務しており、2ヶ月以内で退院し職場復帰したいという事情もあって入院から2ヶ月を待たずに退院なさいましたが、手の苔癬化も改善して入院時とは見違えるほどです。

多少の落屑や痒みの自覚症状はあるため、自宅に帰ってからもなるべくバイオ入浴の時間を確保するよう強くお勧めしました。

膝裏#94

退院直前に行った血液検査では、TARCが基準値内の276まで改善するなど、治療前後の画像だけでなく数値の面でもしっかりと改善が認められています。
※IgEの値は、バイオ入浴開始後数ヶ月間はかえって上昇することが珍しくなく、開始から半年程度で下がりはじめることが多い傾向にあります。

横顔#94

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