治療の現場から

保湿?脱保湿? 保湿についての考え方:久保Dr.からのアドバイス

2020.10.31治療の現場から

秋になって空気が乾燥する日が増えてきました。

秋冬のこの時期、多くのアトピー患者さんは皮膚の乾燥対策のため、普段以上に保湿に気をつけていらっしゃるのではないでしょうか?

反対に、世の中にはまったく保湿をしない脱保湿という考え方もあり、保湿剤を使わないだけでなく、お風呂にもほとんど入らずに過ごしている方もいらっしゃいます。

乾燥肌

今回は、乾燥対策と保湿・脱保湿について、私(院長の久保)の見解をお話ししたいと思います。

保湿について

乾燥の不快感や痛みによって体を掻くと、せっかく回復しようとしている皮膚のバリア機能を壊してしまいますから、特に治療中のアトピー患者さんの皮膚には適切な保湿が必要です。

適切なというのがポイントで、例えば、滲出液が出ている箇所は乾燥させた方が傷が早く治りますから、保湿することは向きません。

その他にも、皮脂分泌腺の分布に応じて、使用する保湿剤の保湿力を調整することも重要で、保湿力は一般に、軟膏>クリーム>ローションとなります。

クリーム

そのため、当院では院内で調合したオリジナルのローションやクリームなどを用意していて、入院患者さんには少量のサンプルを提供しています。

このオリジナルローションの中には、どくだみやユキノシタといった植物をスタッフ自らが採取しエキスを抽出していたり、有効バクテリアを培養・抽出するなど、手間暇かけて作成しているものも含まれます。

秋や冬は、私のように健常な皮膚の人であっても、乾燥で痒みを感じたりすることがありますから、アトピー患者さんには適切な保湿が重要です。

おすすめの乾燥対策

1.加湿器を使用する

→ 居室・生活空間の乾燥対策が基本です。

2.自然素材の衣類を選ぶ

→ 発熱素材の下着などは皮膚を乾燥させます。

3.電気毛布・ホットカーペットを使わない

→ 電気毛布をつけたまま寝ると、睡眠中に全身が熱っされて水分が蒸発し乾燥が進みます。また、接触部は特に血流がアップして皮脂分泌が増え、マラセチアによる毛嚢炎(もうのうえん)が誘発されます。

詳しくは、秋・冬のアトピー注意点:久保Dr.からのアドバイス 2020年10月版でも解説しています。

4.飲酒を控える

→ 飲酒は利尿作用などから体を脱水状態とさせ、乾燥を引き起こします。

5.ビタミン充分な食生活を心がける

→ ビタミンA、B群、Eは肌のターンオーバーに大きく影響し、不足は乾燥の原因になります。

脱保湿について

当院に入院なさる患者さんの中にも、過去に脱保湿に取り組んだ経験がある方や、実際に脱保湿中に受診なさり、その後、入院となった方がいらっしゃいます。

問診

脱保湿のためにしばらくお風呂にほとんど入らず過ごしていたので、バイオ入浴では一日何度もお風呂に入ることに驚いたと話す方も少なくありません。
※バイオ入浴は、保湿を目的に行うものではなく、バクテリアによる免疫刺激から体質改善を目指すものです。

脱保湿は、バイオ入浴をアトピーのケア方法として開発・提唱している当院とは、まったく別の立場から改善を図る方法ですが、ある程度認知されているのは、効果的な場合もあるからなのだと思います。

しかし、アトピー性皮膚炎を「Th1自然免疫が弱く、Th2アレルギー性免疫が過剰であるために生じる感染症」だという視点で見ると、治療の中心に置くのは、免疫の改善と炎症の抑制であることが大切だと考えています。

免疫バランスTh2偏重

当院の研究データ①

アトピー対策の本質

そもそも、アレルギー炎症によりバリア層が破壊され皮膚の乾燥が生じているわけですから、保湿・脱保湿はアトピーの根本原因に対しての治療である「免疫へのアプローチ」ではなく、「皮膚炎が生じている肌をどう扱うか」という対処法の範囲の事柄です。

アトピーそのものの治療としては、皮膚の炎症を止め、免疫改善へのアプローチを行うことが何より大切であるというのが当院の見解です。

当院の研究データ②

保湿をせずに乾燥状態のまま過ごすことは、痛みやヒキツレなどの不快感や落屑等が強まるというデメリットもありますので、入院中の患者さんには適切な保湿や部屋の加湿などの乾燥対策を行ったうえで、バイオ入浴にも取り組んで免疫改善を図るようアドバイスしています。

保湿剤は種類があり皮膚炎の推移で使い分けていく事が必要ですし、場合によっては漫然とした使用をやめ(脱保湿)、皮膚の変化を観察する事も必要です。

次のページには、漢方薬、鍼・整体、糖質制限など、受診したアトピー患者さんからたずねられることが多い治療法や健康法について、私なりの見解をご紹介しています。

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