治療の現場から

心理的ストレスから悪化したアトピー、多角的な治療が効果をあげた! 症例:54

2020.09.18治療の現場から

20代 男性 入院期間2020年5月~8月

左顔1

左顔2

入院までの経緯

幼少期よりアトピーがあったが、たまに小児科を受診して、ひじやひざにステロイド軟膏を塗布する程度だった。

高校を卒業後就職。
勤務して2年ほど経った頃(入院の約半年前)、社内でのトラブルに巻き込まれストレスが増大した。

首1首2

頬に赤い湿疹が生じ始め、2週間ほどで顔全体に拡大。
背中にも症状が拡がり、痒みも強かったことから地元の大学病院に通院を開始した。

ストロングからベリーストロングクラスのステロイド軟膏とプロトピックの処方を受け、部位に応じて塗布を行うようになり、入院の5ヶ月前からはステロイド(プレドニン)の内服を開始。

背中1

背中2

症状はいったん改善したが、4月の異動にともなってストレスが増大し皮膚症状も悪化した。
入院の1ヶ月前からは上半身全体に症状が生じ、ステロイド内服を増強したが更に悪化したため、脱ステを決意して当院へ入院。

検査データの見方は掲載症例の見方をご覧ください。
検査結果表

入院後の経過

顔や首、背中をはじめ、肘の内側等にも皮膚炎が生じている中等症のアトピー患者さんですが、近医では外用ステロイド以外に、入院の1ヶ月前からプレドニン(ステロイド)の30mg内服投与を受けていましたが改善が得られず、その後の脱ステロイドで余計に悪化していたようです。

入院時の血液検査では、自覚症のPOEMが27点という高値であるのに、TARCは1615と見た目の皮膚炎にしては低く、IgE121は正常値。好酸球(Eo)も正常値で、一般的なTh2タイプのアレルギーとは異なります。

右肩1右肩2

皮膚の黄色ブドウ球菌コロニー数は多いのですが、抗生剤での治療ではすんなりと改善してくれない状態でした。

このようなケースでは、典型的なアトピーであるTh2が過剰に働くタイプとは異なって、ストレスによる免疫のアンバランスや、黄色ブドウ球菌、マラセチアなどの病原性微生物の増加、若者に多い皮膚の分泌過剰などを総合的に判断する必要性があり、バイオ入浴に加えて心理的なアドバイスや、食事による微生物のコントロールも重要です。

実際にこの患者さんについても、微生物による接触皮膚炎や、Th17、Th1免疫の動きなども考慮しながら治療を進めました。

右上腕1右上腕2

入院直後は、特に顔の腫れ感や痛みが強く、滲出液が固まってはひび割れてを繰り返している状態でしたが、10日ほどで徐々に引き始め、リンパ節の腫れが生じてきました。

リンパ節の腫れは、バイオ入浴に取り組み始めたアトピー患者さんにはよく生じるもので、免疫バランスの変換が起きているサインと考えられます。

左肩1左肩2

当院の研究では、バイオ入浴は、Th1、Th2、Th17、Tregなどの免疫の動きを絶妙にコントロールし、炎症を鎮めている起序が判ってきています。

入院から1ヶ月が経過する頃にはTARCは基準値内まで低下し、ご本人も症状が改善していくのを感じ取っていました。

左上腕1

左上腕2

その後、入院治療やバイオ入浴を継続するなかでは、TARCやPOEMがやや上昇した時期もありましたが、一進一退を繰り返しながらも改善は進み、入院から約3ヶ月間で退院。

退院時には、当院の食事療法で顔や身体が引き締まり、精悍な顔つきになって自宅へと帰って行かれました。

右顔1

右顔2

院長コラム

この患者さんは、大型機械の整備を仕事にしているとのことで、日常的に皮膚が機械油等にさらされることが多く、症状悪化の一因になっていたと考えられます。

過去の入院患者さんでも、金属の切削作業や、美容師さんの髪用の薬剤、飲食業の食器洗い洗剤など、職業特有の悪化原因による皮膚症状に対し、ステロイド軟膏を恒常的に使用しても改善が得られないケースにしばしば遭遇します。

肘内側1肘内側2

また、心理的なストレスが引き金となって、症状が悪化してしまう患者さんも多くいらっしゃいます。
人は痒みのある部位を掻くと一時的な快感を得られますが、それが習慣化してしまうと、依存症のように掻くのが止めらなくなり、掻くことで皮膚のバリア層を破壊してしまって症状が悪化します。

そして、悪化した症状そのものが心理的なストレスになるという悪循環を引き起こし、徐々に重症化してしまうことが珍しくないのです。

当院が心理療法や瞑想を取り入れているのも、心理的な状態やストレスコントロールが皮膚症状と直結しているからです。
バイオ入浴による免疫変換を含め、食事、心理など総合的なアプローチが求められます。

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