治療の現場から

夏場のアトピー対策はココに注意!:久保Dr.からのアドバイス

2020.06.20治療の現場から

夏のアトピー対策とは?

6月に入って暑い日が増え、ここ飛騨高山でも今年最初の真夏日が記録されたかと思えば、今度はジメジメとした梅雨が訪れました。

さて、多くのアトピー患者さんは、季節によって比較的皮膚炎が安定しやすい時期と、反対に悪化しやすい時期があります。

今回のブログでは、本格的な夏を目前に、夏場が苦手なタイプのアトピー患者さんがなるべく上手にこの夏を乗り切ることができるよう、注意点や対処法をお伝えします。

久保院長1

皮脂腺と汗腺

人の皮膚には、皮脂腺から油脂を分泌して冬季の乾燥から肌を守る働きがありますが、夏季には汗腺(水汗)で体を冷やす機能が活発に動きます。

夏に悪化するタイプのアトピー患者さんは、汗腺(水汗)からの分泌が増える事によって、じめじめした肌が好きな黄色ブドウ球菌というバイ菌やカンジダという酵母様真菌(カビ)が増え、発汗の多い肘や膝の内側や脇、首に赤い湿疹が生じてきます。

反対に、冬に悪化するタイプのアトピー患者さんは、皮脂分泌が盛んになって、油の好きなマラセチアという酵母様真菌(カビ)が増えます。マラセチアによる皮膚炎は、強い痒みと角化乾燥から悪化しやすい傾向があります。
冬の注意点はこちらのページ

冬のアトピー注意点:久保Dr.からのアドバイス

それでは、夏場の悪化要因を掘り下げてみてみましょう

要因① 汗

先ほども書いたように、発汗が原因でアトピーが悪化するというのは非常によくあるケースです。
特に首回り、肘や膝の内側など汗が乾きにくい部分に湿疹が生じたり、もともと皮膚炎が生じていた部位に汗そのものが皮膚刺激となって痒みが増してきます。

汗をかく男性

汗をかくこと自体は新陳代謝という面から見ても良いことなのですが、悪化要因にしないための対処法としては、まずは、汗をかいたらなるべくすぐにシャワーを浴びたり濡れタオルなどでふき取るなどして、汗の成分を皮膚に留めないようにすることをお勧めします。

顔や肘関節は洗面台でもすぐに洗い流せます。
ウェットティッシュや市販の汗拭きシートを使う場合は、配合成分に注意しましょう。
就寝前には屈曲部の内側にベビーパウダーなどを塗って、なるべくサラッとした状態を維持するというのも有効です。

扇風機

お風呂上りのホテリには、冷水のシャワーや保冷材、エアコン、扇風機などを活用してなるべく早く汗がひくようにします。
本格的に高温多湿な季節になってきたら、エアコンをうまく使って汗をかかずに就寝できるようにしましょう。

炎症が強くなったら、お風呂から上がる直前に、洗い場で炎症部位にイソジンを薄く塗布して1分乾燥させ、すぐに洗い流すと効果的ですが、傷があるとしみます。
朝、発汗部位にスルファジアジン銀を塗布しておくことも有効な場合が多くみられます。

要因② 皮脂分泌

季節を問わず、油っこい食事をしたことで皮脂の分泌が促進されると、皮脂が好物であるマラセチア(真菌=カビ)が皮膚に増殖します。

成人アトピー性皮膚炎では、ほぼ100%の患者さんがカビに強いアレルギーを示します。
特に脂質分泌の多い顔や耳回りが悪化してきたら、カロリーオーバーの黄色信号です。

アイスクリーム

食べ過ぎは、忘年会など外食の機会が増える冬場にも問題となりますが、夏場はBBQやお祭りなどのイベントでの食事や、脂肪分の多いアイスクリームなどが要注意です。

また、アルコールはアトピー性皮膚炎の炎症を悪化させます。
特にビールはビール酵母成分(カビ)を含むため避けた方が無難です。どうしても飲むときは焼酎・ウイスキー等の蒸留酒にしてください。

夏バテしないよう食事はしっかり摂るべきですが、この時期こそ、食べ過ぎに注意して食事をコントロールする必要があります。

食事療法については、当院Instagramでも日々の献立や調理のポイントなどを公開中です!
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要因③ 紫外線&日焼け止め

夏場に強まる紫外線。
人の皮膚は紫外線を浴びると日に焼けますが、長時間になると組織が破壊され皮膚のバリア層が傷ついてしまいます。

日焼けする女性
この傷ついた皮膚を掻いてしまうと、皮膚には追い打ちのようにダメージが重なって、その後のリカバリーに時間がかかったり、皮膚炎のコントロールが不良になることがあります。
健康な皮膚の方であっても日焼けには注意が必要ですが、アトピー患者さんはそれにも増して要注意です。

太陽の光にまったく当たらないというのもおすすめはできませんが、日傘やアームカバー、フェイスマスクなどを活用して、不要な紫外線は避けるべきです。近年は、男性の日傘も普及してきました。

日焼けグッズ

日焼け止めは、アトピー患者さんであれば成分を吟味して選んでいると思いますが、それでも合わない場合もあります。

特にオイルタイプは油脂成分をマラセチアが好む可能性があるので注意し、どんな日焼け止めでも帰宅したらすぐに洗い流すことが大切です。

要因④ 虫刺され

蚊やアブ、ブヨなどの虫さされによって痒くなった部分を掻き壊してしまい、そこからアトピーが悪化するというケースも、たびたび見られる悪化例です。

虫よけ
虫よけスプレーや虫刺されの薬での皮膚炎悪化も考えられるので、なるべく天然成分のものを使うと良いでしょう。
最近では、衣類の繊維に虫が嫌う天然成分を含ませた、防虫ウェアも登場しています。

要因⑤ 腸内環境

夏場はBBQやお祭りの屋台での油っこい食事、そうめんなどの冷たい麺類やアイスクリームといった、体を冷やしたり腸内環境に影響大の食べ物が増える季節です。

腸内環境=腸内フローラ(細菌そう)です

人間の免疫機構は腸管免疫の働きが大きなウェイトを占めていると考えられていますから、腸内環境を崩すことは体の免疫そのものを崩すことにつながります。

アトピーのコントロールに食事が重要なのはどの季節であっても変わりありませんが、腸内環境を意識した献立の食事を心がけて、暑い夏を乗り切って頂きたいと思います。

当院の管理栄養士が行っている食事指導の様子を、職員がブログ記事にしていますので、ぜひ参考になさってください。

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