治療の現場から
腫れていた手のひら 「ステロイドを使いたくない」という本人希望が実現!入院期間: 2016 年6月 ~8月:症例30
2016.10.30治療の現場から
30代女性
入院までの経緯
25歳、出産後から全身性にアトピー性皮膚炎が生じるようになり、ステロイド外用にてコントロールしていた。
36歳になり自身で脱ステロイドを試みたが、炎症の悪化に耐えられず2週間で挫折。
その後、顔はマイルドタイプ、体部はベリーストロングタイプのステロイド外用を毎日使用していた。
37歳で化粧品カブレから生じた顔の発赤・腫脹が改善しなくなり、ステロイド外用・内服を行っても赤みが改善できなくなったためプロトピックを使用したが、翌日から単純ヘルペス感染(カポジ)が生じて中止。
毎日全身にステロイド外用を塗布したが顔の赤みは改善せず、頭皮から滲出液が出始めたため不安になりって脱ステに理解のある病院(他院)に入院。
2ヶ月間の入院治療である程度改善して退院したが、手荒れをきっかけに退院後1ヶ月で元の状態にまで悪化した。
その後も3ヶ月間自宅療養を行ったが、顔を含めた全身性のアトピー性皮膚炎が持続したため、改善方法を模索する中インターネットで当院を知り入院となった。
検査データの見方はこちらのページをご覧ください。
入院後の経過
患者さん自身に「ステロイドを使用せずアトピー性皮膚炎をコントロールしたい」という強い希望があり、育ちざかりの3人の子どもさんいるため、家族のサポートを受けての入院でした。
入院時は顔を含めた全身の紅斑(こうはん=赤み)、強い落屑、掻き傷と強度のかゆみがあり、手指が腫れ指輪がくい込みんで取り外せない程の状態でした。
症状が強く、抗アレルギー剤を併用しながら食事療法・心理療法を開始。
同時にバイオ入浴もスタートさせると、改善はゆっくりながら、血液検査の結果も確実に低下しました。
本来なら3ヶ月程度の入院期間が必要なケースですが、育児のためなるべく早く退院したいという希望があり、入院から約2ヶ月間、TARCが入院時の1/3まで低下したことが確認できた時点で退院し、自宅でバイオ入浴を続けることとなりました。
退院後、約3ヶ月経過後の外来受診時には、アトピー性皮膚炎は劇的に改善して乾燥肌のみとなっていました。
各炎症マーカーも正常値に近づいていて、バイオ入浴による自然免疫の賦活は明確に機能しています。
入院で重症状態を脱したあとは自宅でバイオ入浴を継続し、自然免疫への刺激を続けることによって、免疫はより一層本来の状態に近づいていっています。
症状が安定するにしたがって、次第に入浴時間は少なくても健康な肌を維持できるようになっていくでしょう。
重症患者さんに多い手足の腫れ
この患者さんのように、重症アトピー患者さんで手足に強い腫れが生じているケースはよくあり、入院時は靴が履けずにサンダルで来院したという患者さんも、たびたびあります。
アレルギー性の炎症は腫れを引き起こしやすいと言われていて、アトピー患者さんの腫れは、よくある浮腫みと同じように、循環が滞りやすい末端で生じることが多く、特に手足の甲や指先に強く生じやすくなります。
この腫れは炎症が皮膚表面だけでなく、皮下組織にまで及んで細胞内の水分移動が上手く出来なくなっているためですが、この症例でもわかるように、治療が進んで皮下組織での炎症が治まるにつれて、腫れもひいていきます。
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